大楠安紀ブログ

The United States vs. Billie Holiday


West Side Story

話題の映画2本を見てきました。

The United States vs. Billie Holiday
ちょっと大げさな題名ですが、音楽の持つ力を認識させる映画だと思います。
人々の魂をわしづかみにするビリー・ホリデイ(主演のアンドラ・デイが素晴らしい)の歌の凄さが伝わるとともに、麻薬との問題をストーリーにした内容に考えさせられました。
名作『グリーンブック』でも音楽を担当したクリス・バワーズが音楽を手がけています。
個人的には、原曲のメロディから離れて器楽的な歌い方をするビリー・ホリデイの唱法の部分は削られ、聞きやすい楽曲にしているように感じますが、歌の持つ力はよく伝わって来ます。
名門コロムビアレコードの看板スターであったビリー・ホリデイですが、アルコールと麻薬で荒れた生活は悲惨さを感じます。
代表作「奇妙な果実」はコロムビアレコードで吹き込まれていません。
セロニアス・モンクもそうでしたが、キャバレーカードを取り上げられるとニューヨークでの安定した生活ができなくなってしまうのですね。
映画を見ていてジャニス・ジョプリン(同じコロムビアレコード)を思い出しましたが、ジャズという範疇にとどまらず、歌の力を信じる人みんなに見てもらいたい映画です。
私が生まれたときに初演された「ウエスト・サイド・ストーリー」は子どもの時に家にサントラ盤が有り、このレコードをくり返し聞いて音楽が好きになった思い入れのあるミュージカルです。

巨匠スティーブン・スピルバーグが再映画化した「ウエスト・サイド・ストーリー」ですが、改めてレナード・バーンスタインの音楽の素晴らしさに感動しました。
ジャズ、ラテン、クラシック等の音楽要素を入れ込み、人種のるつぼであるアメリカを表現した20世紀を代表する音楽だと再認識しました。
2時間半レナード・バーンスタインとニューヨーク・フィルハーモニックの音楽に浸るだけでもこの映画を映画館で見る価値があります。
昨年見た傑作ブロードウェイ・ミュージカルの映画化作品『イン・ザ・ハイツ』は、「ウエスト・サイド・ストーリー」を体験した次の世代のミュージカルなのですね。


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