大楠安紀ブログ

「Weak Point Card」(弱点カード)

「Weak Point Card」(弱点カード)

一級建築士に合格しました。
足かけ5年、64才での合格です。
建築を専攻していたわけでもなく、これまでの仕事はメーカーで建築材料を主に扱っていて、建築専門で仕事していたわけでもありません。
合格したときに、通っていた資格学校の学校長や教務主任、他の講師方から講師をやらないかと要請がありましたが、さすがに高齢ですので遠慮しました。

合格のポイント

一級建築士はそれなりに難関の資格ですが、ある意味誰でもなれる資格です。
合格したときにも書きましたが、大事なポイントは3つ
(1)覚悟を決める事
(2)試験を受ける事を周りに公表する事
(3)最後まで諦めない事
合格するまで諦めなければ絶対に合格できます。
大事なのは後退しないように正確な理解を積み上げることです。

資格合格に共通する法則

色々な資格を取ったり、他の人を指導してきましたが、資格合格に共通する法則は次の3点です。
(1)合格ラインが解ること
(2)自分の実力を知ること
(3)合格ラインと自分の実力を埋めるため、勉強する生活のリズムを作ること
孫子の兵法「敵を知り己を知れば百戦してあやうからず」ですね。
ただ、モチベーションも含め生活のリズムを作ることが大切です。

一級建築士学科試験の勉強は、やはり過去問が重要

一級建築士は建築系では最難関の試験ですから、基本的な建築の知識は勉強しておく必要があります。
私は独学で3年間勉強しましたが、正直資格学校のテキストを含めて、あまり良いテキストは無いように感じました。
それでも、基本的なところは曖昧にせずしっかりと理解しておく必要があります。

合格するには、やはり過去問の理解が一番重要です。
過去問をやっていて感じるのは、良くできた問題だなと思います。(資格学校の模試とはレベルが違います)
ただし、過去問のやり方が重要です。
一級建築士学科試験は、一つの問題に4つの問いが有り、間違っている問い(あるいは正しい問い)を一つ選ぶ試験です。
ですから、4つの問いの内、間違っている問いが1つわかるか、正しい問いを3つ解れば良いことになります。
しかしながら、昨年ならば125問のうち70%以上合ってなければ合格できません。学科合格率は20%以下です。

受験される方々は皆さん一生懸命勉強されています。
大金を払って資格学校に通われている方も大勢います。
合否を分けるポイントは知識の量で無いと思います。
それは正確な知識(質)をどれだけ積み上げれるかです。満点を取る必要はありません。
試験問題が良くできている点は、曖昧な知識では間違うように作られていることです。
問題を間違うときは、正しい問いなのに間違って見える問いに引っ張られるケースが多いからです。

数値にとらわれない

学科の勉強をすると、沢山の数値が出てきます。
ですから、その数値を覚えることが勉強だと考えます。
しかしながら、数値を覚える事よりも、数値の意味が大事です。
例えば、「細長比」や「断面二次半径」と言っても何が何のことが解りません。
木造の柱の有効細長比は150以下としなければならないとありますが、150を覚えることより、「細長比」とは細さだと理解して、数値が大きくなると細くなると言うことを理解しておく方が大事です。たぶん、「細長比」を「細さ」と理解するだけで大抵の問題はわかります。
数値を覚えるより、その数値が大きくなったり、小さかったりしたらどのような現象になるかをわかることが大事です。
又、色々な機器の間隔の数値を個々に覚えるより、人間の肩幅が約60cmと理解しておけば、大抵の機器の間隔が理解できます。
逆に言えば、この基本的な理解が解っているかを問う試験だと言えます。

過去問をやるとき自分の間違い方を分析しよう

過去10年程度の過去問を、受験までに最低3回ほどはやると思います。
最初はテキストを読み進めて行くのと並行して、個々の問題をやってみる。
次に試験時間の6時間半に合わせて問題をやってみる。(過去問全部は難しいと思いますので、3年前、4年前、5年前の問題はやった方が良いと思います)
最後に総仕上げで過去問に眼を通す。
このうち最初の時と通しで問題をやったときに、自分の間違い方を分析することが大事です。
私の分析方法は、
間違った問題 
 A:勘違い、マークミス、問題の読み間違い
 B:ある程度問題の内容がわかるが、間違った問題が選べない、もしくは正しい問いを間違っていると選んだ
 C:問題そのものが解らない、勉強したことがない
合っていた問題
 D:4つの問いは全部わからなかったが、選んだ問いがたまたま合っていた
 E:4つの問い全て正誤が正確にわかった
この中で、大事なのはBとDです。
曖昧な知識をどれだけ積み上げても点数は伸びません。
Cにように知らないことを恐れる必要はありません。
分析する時間がもったいないと感じるかもしれませんが、自分の間違い方をしっかり分析して勉強するポイントを掴まないと点数は伸びません。

弱点カード

勉強を進めていくと、よく間違うところ、間違って理解しているところ、良く理解できないところが出てきます。
よく間違うところが絞られてきます。
ここは、なかなか覚えられない物です。
これを克服するには、「覚えるより繰り返す」です。
私は、良く覚えられないところを、カードに書き出しました。
「Weak Point Card」(弱点カード)と名前を付けていつも手元に置きました。
カードホルダーに大体100枚程度です。
理解できればカードホルダーから外し、間違ったところがあれば追加しました。
カードは理解程度で書き直しし、なるべくシンプルに自分が解るようにしました。
各自色々なやり方があると思います。
テキストに付箋を貼って書き込みとか、自分用のノートを作成する等々あります。
大事なのは間違うところを明確にし、いかにシンプルに理解できるようにするかだと思います。

メリハリをつけよう

本試験で大体10%は新規問題が出ますが、この問題を解けるようにする必要はありません。
ある程度テキストや過去問を勉強してきて初めての問題は、自分だけで無く他の人もわかりません。
80%解ければまちがいなく合格ですから、90%以上回答できる必要はありません。
それより過去に出た問題ができないと他の人と点差が出ます。
ただ、難しいのは過去問に出ている内容なのに、その時は正しく、ほんの少し数値が異なって誤問題となっているケースがあることです。
ここでも、数値そのものが正しいかどうかよりも、数値が大きく(あるいは小さく)なったことが正しいかどうか判断できる理解度が求められます。
4つの問いの内、間違っている問題を選択することが勉強で無く、正しい問いがどうして正しいかを理解することが重要です。

ケアレスミス

ケアレスミスを無くせば合格できます。
問題の読み間違いや思い込み、選択ミス、勘違い等々です。
私が1点足りなくて不合格になった時、実は5問もこのケアレスミスがありました。
考えられなかったし、試験後眠れなかった物です。
今でも間違った問題と間違い方を覚えています。
ケアレスミスを防ぐための問題文や問いへの書き込み、回答するためのプロセスやイラストの書き出し等大切です。
ただ、ケアレスミスを完全に防ぐことは難しいと思います。
本番は通常と異なった精神状態ですし、本番の時間の使い方も難しいです。
合格したときはケアレスミスを5問しても合格できるように勉強しました。
実際に2問とんでもないミスをしましたが、合格基準点より21点オーバーで合格することができました。

問い合わせ下さい。

一級建築士に合格したいと思っている方で、なかなか点数が伸びないと思っている方は私に問い合わせ下さい。
多少なりとも力になれるかと思います。


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