大楠安紀ブログ


平手打ちに全ての話題を持って行かれた感のある今年のアカデミー賞ですが、一番注目される作品賞に「コーダ あいのうた」が選ばれ、先日見に行ってきました。
コーダは、Child of Deaf Adultsの略語で、聴覚障害者の家族の中で一人健聴者の主人公が「歌うことを」夢見る物語です。
聴覚障害者の家族は、全て聴覚障害者の俳優が起用され、父親役のトロイ・コッツァーは今回のアカデミー賞で助演男優賞を獲得。母親役のマーリー・ベス・マトリンは以前にアカデミー主演女優賞を取った女優。
主人公のルビーは家業の漁業を家族の”通訳”として手伝っていた。ルビーは高校で合唱部に入り、顧問の先生がルビーの歌の才能に気づき、名門バークリー音楽大学への進学を勧めるが、歌声の聞こえない家族に反対に会うというストーリー。
多少ネタバレになりますが、家族で合唱部のコンサートに行き、父は歌声は聞こえないながらルビーの歌声に観客が感動していることで、娘の才能に気づき音楽大学への進学を後押しします。
私の息子も聴覚障害者ですが、聞こえなくても色々な事が伝わります。逆に聞こえないからこそ、他の人の感情とか伝わる気がします。
ハンディーがあっても、それが解ることで普通の人と一緒に活動していくことができます。映画でも聴覚障害を持ちながら主人公の家族が、漁業仲間にストレートな行動でリーダーとして一緒に置かれた立場の改革に活動していく所は感動ですね。
私の息子も周りの人たちに助けられながら、普通の学校をでて、普通の会社に勤め仕事をしています。ハンディーがある人がいてもそれをわかり合って一緒に生きていくことは大事なことだと思います。
私も高校時代は合唱部でしたが、映画に出てくる学校の合唱部は楽しいですね。顧問の先生も厳しいながら、歌を通じて伝えることを教えていきます。主人公の癖のある歌声も、個性として伸ばしていきます。
音楽学校入学試験の歌で家族のために、手話を交えて歌う姿はこの映画の白眉です。
この時のジョニ・ミッチェルのBoth sides nowやマーヴィン・ゲイ&タミー・テレル のYou’re all I need to get byなどの青春を彩る名曲がこの映画の魅力をさらに増しています。



起きてはいけない戦争が起こり、人の殺し合いという悲惨な状況を目の当たりにしています。
この状況下で、ハンディーを持つ人達への関わり・家族の絆を通して、夢を実現する希望に満ちたこの映画がアカデミー作品賞を取った意義があると思います。
後、下世話な見方をすると、今回のアカデミー賞で、映画配信サービスに参入して3年で作品賞を取ったアップルのティム・クック氏が最大の勝者でしょうか。


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