「カフェコラレッカ」大楠安紀ピアノトリオライブ
7月22日(土)、滑川にある「カフェコラレッカ」で私のピアノトリオのライブでした。
2回の演奏で、最初も2回目も満員のお客様に来て頂きました。
ここのお店は2019年の開業以来、「カフェで地域に貢献」と月に一回イベントを開催されてきています。
普段はクラシックのライブが多いお店ですが、ジャズに特化したライブは初めてさせて頂きました。
ジャズを生で聴くのは初めてのお客様が多い中、楽しんで頂いたと思います。
ここには、素晴らしいピアノがあり、会場の音響もよく演奏できて嬉しかったです。
今回はfirst set,second setとすべて違う曲を演奏しました。
こんなに演奏したのは初めてで、後半はかなりバテました。
でも、けっこうやりきった感があり、これまで色々と取り組んできた曲に課題もありますが手応えを感じました。
店主の稲崎聡さんには、ライブの準備(フライヤー、プログラム、看板、集客etc)に何から何までお世話になりました。
大変ありがとうございました。
ご挨拶 カフェコラレッカ 店長 稲崎 聡
本日は「大楠安紀 Jazz Trio Live」にお越しいただきありがとう ございます。
カフェコラレッカはサービス付高齢者住宅「早月の郷」に併設されたカフェです。
この施設の利用者さんやご家族の方だけではなく地域のお客様も気軽に立ち寄って素敵なひとときを過ごすことができるようなカフェをコンセプトとしています。
本日は富山を中心にジャズピアノを演奏されている大楠さんのトリオをお迎えしてのコンサートです。
本格的なジャズの名曲を ピアノ・ベース・ドラムで演奏していただきます。
なかなか生で聴く機会がないジャズピアノの魅力をたっぷり味わっていただけれ ば幸いです。
出演者プロフィール
【大楠安紀 (ピアノ)】
富山県魚津市出身、砺波市在住。
富山県に U ターンと同時に Field Holler Jazz Orchestra に参加。
しばらく活動を中止していたが、1994 年 Field Holler Jazz Orchestra に復帰し、アメリカ モントレージャズフェスティバル、スイス モントルージャズフェスティバルで演奏。
丸杉俊彦率いる Jazz Palに参加し 1998年浅草ジャズコンテストにて銀賞授賞。
2000 年からの東京勤務では渋谷の喫茶シーバードでサンニチバンドをやり始める。
2004 年暮れに富山に戻り、東京時代一緒だったギターの居村猛とジャズバンド「iBop」をスタートし活動継続中。
2017 年より中島伸高、佐野友重とピアノトリオの活動を始める。
故大給桜子、福田重男に師事。
【中島伸高(ベース)】
富山県魚津市出身、入善町在住。
入善 time のセッション参加をきっかけに jazz を始める。
iBop、7meets、notes でベース担当。
富山、石川を中心に活動中。
【佐野友重(ドラムス)】
富山県氷見市出身
当時 14 歳、カーペンターズ武道館公演でのドラム演奏に感動し打楽器を学び始める。
現在ビッグバンド 『KOB Swing Echoes』でドラムを担当。ほか、ジャズトリオライブ、セッションライブに多数参加。
また、2004 年よりシンセサイザー奏者 滝沢 卓さん主宰のバンド『こめり~ず』にパーカッション、ドラムで参加。
2012 年より二胡奏者張鶴さんのコンサートにパーカッション、ドラムでサポート。
first set
On The Sunny Side Of The Street (Jimmy McHugh)
「オン・ザ・サニー・サイド・オブ・ザ・ストリート」は、ジミー・マクヒュー作曲、ドロシー・フィールズ作詞の 1930年の曲で、ハリー・リッチマンとガートルード・ローレンスが主演したブロードウェイのミュージカル『ルー・レスリーのインターナショナル・レビューで最初に紹介されました。
NHK 朝の連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」の表題曲として使われた曲です。
このドラマの作編曲者は「金子隆博」。最初はサックス奏者として有名になりますが、病気で楽器が吹けなくなりピアノ演奏に変わります。ドラマのジョーと同じですね。
ドラマの最後でジョー(金子隆博)が「オン・ザ・サニー・サイ ド・オブ・ザ・ストリート」 をピアノソロで弾いている音が流れ ます。
ドラマでは色々な編曲でこの曲が聴けるのですが、私はこのピアノソロが大好きで、その編曲から音を取ってみました。
Prelude To A Kiss (Duke Ellington)
「キスへのプレリュード」は、デューク・エリントンが作曲し、 アーヴィング・ゴードンとアーヴィング・ミルズが歌詞を書いた 1938 年のバラードです。
半音階で複雑な進行で作曲された洗練された楽曲。
それまでのジャズを革新したエリントンを象徴する曲です。
複雑さを感じさせないようなスムーズなメロディを弾きたいと思っています。
Mood Indigo (Duke Ellington)
「ムード・インディゴ」は、デューク・エリントンとバーニー・ ビガードが音楽を担当し、アーヴィング・ミルズが歌詞を書いたジャズソングです。
この曲は 1930 年 10 月のラジオ放送用に作曲され、当初のタイトルは「Dreamy Blues」でした。
しかし放送翌日、この新曲を絶賛する大量の手紙が届いたので、アーヴィング・ミルズがそれに歌詞を付けました。「ムード・インディゴ」と改名され、ジャズのスタンダードとなりました。
エリントン楽団の演奏をそのままピアノで弾いています。
音数を最小限にしたバラードになっています。
Aメロはベースに Bメロはピアノが弾きます。AメロとBメロの対比をお聞き下さい。
How My Heart Sings (Earl Zindars)
「ハウ・マイ・ハート・シング!」『ムーン・ビームス』はジャ ズ・ミュージシャンのビル・エヴァンスが 1962 年に録音したア ルバムです。
モダンジャズピアノのスタイルを確立したのはビル・エバンスと言えます。
この曲の作曲者アール・ジンダースはビル・エバンスの朋友として新しいジャズピアノのスタイルを作り上げています。
難しい曲ですが、ビル・エバンスのイメージで演奏したいと思っています。
I Got It Bad And That Ain't Good (Duke Ellington)
「アイ・ガット・イット・バッド(アンド・ザット・エイント・グッド)」は、 1941 年に出版された、デューク・エリントンの音楽とポール・フランシス・ウェブスターの歌詞によるポップとジャズのスタンダードです。
2000 年から日本最高のジャズピアニストの一人福田重男に習い初めましたが、その頃はバラードもルバートも弾けませんでした。
この曲は、自分で初めてヴォイシングをした曲で、福田重男に多少手を入れてもらいましたが、認めて頂いた曲です。
ビルエバンスが彼の最初のアルバムで演奏したバージョンをベースとしています。
Milestones (John Lewis)
「マイルストーンズ」 は、アメリカ合衆国のジャズ・トランペット奏者マイルス・デイヴィスのスタジオ・アルバムです。
「ジャスの帝王」呼ばれるマイルス・デイビスですが、自分名義の初吹き込みは、チャーリー・パーカーのバンドにいたときに、彼のメンバーをそのまま借りて演奏しています。
その時の録音のためにマイルスの名前から取った曲です。
レコーディング上の作曲者はマイルス・デイビスですが、実際の作曲者はその時のメンバーにいたピアニスト「ジョン・ルイス」だと言われています。
この話は後日、マイルス・デイビス自身が同名の曲「マイルストーンズ」を改めて作曲したことからもうかがい知れます。
録音に際し、チャーリー・パーカーはサイドマンであることをしめすために、自分のメイン楽器であるアルトサックスを吹かずに、テナーサックスを吹いています。
Sophisticated Lady (Duke Ellington)
「ソフィスティケイテッド・レディ」は、 1932 年にデューク・エリントンによって作曲されたジャズ・スタンダードです。
エリントンが彼の女性教師をイメージした曲と言われています。
エリントンは多くの曲を通常 20 分ぐらいで作曲していたそうですが、この曲は 3 ヶ月ほどかかったそうで、凝った作りになっ ています。
メロディに合わせたヴォイシングが魅力的です。
Blackbird (Paul McCartney)
今回のライブで唯一ジャズ以外のビートルズの曲。
シンプルな曲に聞こえますが、譜面にすると結構複雑です。
この曲はあらゆるジャンルで演奏されており、ジャズでもジャコ・パストリアスを初めとして名演が多数あります。
今回は、現代ジャズピアニストの最高峰の一人「ブラッド・メルドー」のアレンジを元に演奏します。
Misty (Erroll Garner)
作曲者のエロール・ガーナーは、ピアノ奏法を独学で習得し、譜面も読めなかったジャズピアニストです。
独創的で、美しい旋律を生み出す演奏技法は、多くの人に愛さ れてきました。
エロール・ガーナーが作曲したミスティは歌詞がつけられ、多くの音楽家が取り上げるバラードの代表曲となりました。
歌詞のミスティは涙目のこと、女性歌手はこの曲を歌うときハ ンカチを出しそっと眼を拭う仕草をします。
encore
Someday My Prince Will Come (Frank Churchill)
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second set
Solitude (Duke Ellington)
「ソリチュード」は、デューク・エリントンによる歌詞と、エディー・ディレンジとアーヴィング・ミルズによる作曲で 1934 年に発表されました。
「孤独」と言った曲名。
20 世紀最高の女性ジャズ歌手ビリー・ホリデイを代表するグラミー賞を取った彼女の代表曲です。
昨年公開された映画「ザ・ユナイテッド・ステイツ vs.ビリー・ ホリデイ」の中も圧倒的な存在感を示していました。彼女の生涯を感じる名曲です。
楽器演奏では、ソニーロリンズの演奏も有名です。
シンプルな構成とメロディーですが、孤独のつらさや忘れされたい記憶を感じさせる曲です。
Valse Hot (Sonny Rollins)
今でも生きているジャズメンでは最大の巨匠、ソニーロリンズの曲。
ジャズの演奏のために書かれた最初の三拍子と言われ「熱いワルツ」という曲名です。
ライバルのジョン・コルトレーンがこの曲に影響され「My Favorite Things」を吹き込んだことは有名なエピソードです。
1954 年マイルス・デイヴィスの誘いを蹴ってシカゴに引きこもったロリンズでしたが、クリフォード・ブラウン=マックス・ローチ・クインテットに誘われ、そのバンドをバックにアルバムを作ります。そのために書いた曲が「バルスホット」です。
この時作ったアルバム「 Sonny Rollins Plus 4」の吹き込み 3 ヶ月後クリフォードブラウンは自動車事故で亡くなってしまし ます。彼の公式録音はこのアルバムが最後となってしまいました。
Darn That Dream (Jimmy Van Heusen)
「Darn That Dream 」は、ジミー・ヴァン・ヒューゼン作曲、 エディ・デランジ作詞の人気曲です。
この曲は 1939 年に出版され、1940 年にベニー・グッドマンがエディ・ソーターのアレン ジでミルドレッド・ベイリーがボーカルを歌った録音がリリース され、第 1 位にランクされました。
ジャズ界の帝王マイルス・デイヴィスは、生涯で演奏スタイル を色々と変えていったことで有名です。
BeBop,Cool,Mood,Electric,Hip Hop,etc。
彼のファンの間では、どの時期のマイルスが良いかよく議論になります。
少数派ですが私は Cool の時代が一番好きです。 その代表作である「クールの誕生」に入っているナンバーです。
Nardis (Miles Davis)
「ナルディス」は、アメリカの ジャズ・ トランペッター、マイルス・デイヴィスの作曲です。
作曲者のマイルス・デイヴィス は 1955 年に大手レコード会社のコロムビア・レコードと契約し ます。
そこで「モード・ジャズ」の一大ムーブメントを起こします。
その時、音楽な貢献をしたのがピアニストのビル・エバン スです。
そのビル・エバンスを意識して作曲されたのが「ナーディス」でしょう。
この曲はマイルス・デイヴィス自身の録音はなく、ビル・エバ ンスの代表曲として数々の録音があります。
Ruby My Dear (Thelonious Monk)
「ルビー・マイ・ディア」はセロニアス・モンクの 2 番目に有名なバラードで、多くのジャズミュージシャンが演奏しています。
変人のイメージが強いモンクですが、非常に独創的な作曲で数々の名曲を残し、また非常に独創的なプレイスタイルによって数々の名演を残した伝説的なピアニストです。
彼の作曲はとっても高度に練り上げられた音楽性の高い曲になっていると言えます。
エリントンと同様に複雑な曲ながら、流れるように綺麗な曲となっています。
Three Views Of A Secret (Jaco Pastorius)
「スリー・ビュー・オブ・ア・シークレット」はエレクトリックジャズベースの改革者として有名なジャコ・パストリアスが作曲した作品です。
彼は 70 年代半ばから 80 年代初頭にかけて、ウエザー・リポートで活動しましたが、高い音楽性と創造性を持った優れた作曲家でもあります。
今回はピアノ用にアレンジした彼の代表曲を演奏します。
独創的な曲ですが、古今東西のジャズ名曲のエッセンスをちりばめたようにも聞こえます。
曲名の由来は解りませんが、3つの調で構成されている曲です。
Lush Life (Billy Strayhorn)
「A 列車で行こう」や「サテンドール」といったジャズを代表する曲を作曲したデュークエリントン楽団専属作曲家「ビリー・ ストレイホーン」の最高傑作。
「飲んだくれの人生」といった曲名でしょうか。
繊細で深い情感を持つこの曲、ビリー・ストレイホーンの人生を表す曲です。
Lotus Blossom (Billy Strayhorn)
東洋的な顔立ちで「ブッダ」とあだ名がつけられたビリー・ストレイホーンの最も美しい名曲。
ビリー・ストレイホーンが亡くなったときに、エリントンは彼の追悼アルバムを作り、最後にソロで彼への思いを込めたこの曲 の演奏を残しています。
新型コロナウイルス感染症で外出が制限されていたころに、亡くなられた方の追悼を込めてよく弾いた曲です。
All Of You (Cole Porter)
1954 年に発表されたコール・ポーター作詞・作曲のポピュラ ー・ソング。
ジャス界ではマイルス・デイヴィスを初めとして、多くの名演が残されています。
「あなたのすべてを思い通りにしたい」と歌われる強烈なラブソングで、メロディー・ハーモニーはコールポーターらしくエキセントリックなものです。
多くのジャズメンがコール・ポーターを取り上げる理由がわかります。