大楠安紀ブログ

「晩秋のバラード集」


大楠安紀 / 佐野友重 DUO Jazz Live
光教寺 南砺市井波1735
11月26日(日)15:00〜

大楠安紀(ピアノ)
佐野友重(ドラムス)

光教寺でライブをおこないました
リーダーライブをやらせていただくのは初めてで、嬉しく思っています。
最近社会活動が活発になるにつれて、思いがけない出会いがあったりして、やはり人と人の出会いは大切だなと感じます。私のピアノ演奏もできるだけ聴いていただける機会を作れればと思っています。
今年10月22日に国宝 瑞龍寺でピアノ演奏を通じて座禅のように自分と向き合うためのイベント『PIANOZEN』が開催されました。世界最高峰のピアノメーカー・スタインウェイ製のアップライトピアノを、お寺で弾く体験は刺激的なものでした。
コロナパンデミックで色々な活動に制約があった時、一人でピアノに向かい合う時間ができました。バラードを中心に一つ一つの音を大切にした音使いを試んでいます。
今回のライブは晩秋のゆったりとした時間の流れに、ジャズハーモニーの素晴らしさを感じて頂ければ幸いです。

大楠安紀(ピアノ)
富山県魚津市出身、砺波市在住。 富山県にUターンと同時に砺波市に拠点を置くField Holler Jazz Orchestraに参加。
しばらくの演奏活動休止後復帰し、1995年アメリカ モントレージャズフェスティバル、1999年スイス モントルージャズフェスティバルで演奏。
丸杉俊彦率いるJazz Palに参加し1998年浅草ジャズコンテストにて銀賞授賞。
2000年からの東京勤務では渋谷のジャズ喫茶「シーバード」でサンニチバンドをやり始める。
2004年暮れに富山に戻り、東京時代一緒だったギターの居村猛とiBopをスタートし活動継続中。
2017年より中島伸高、佐野友重とピアノトリオの活動を始める。
故大給桜子、福田重男に師事。

佐野友重(ドラムス)
富山県氷見市出身 当時14歳、カーペンターズ武道館公演でのドラム演奏に感動し打楽器を学び始める。
現在ビッグバンド 『KOB Swing Echoes』で ドラムを担当。
ほか、ジャズトリオライブ、セッションライブに多数参加。
また、2004年よりシンセサイザー奏者 滝沢卓さん主宰のバンド『こめり~ず』にパーカッション、ドラムで参加。
2012年より二胡奏者張鶴さんのコンサートにパーカッション、ドラムでサポート。


1st set program

On The Sunny Side Of The Street (Jimmy McHugh)

NHK朝の連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」の表題曲「ひなたの道」として使われた曲です。
このドラマの作編曲者は「金子隆博」。最初はサックス奏者として有名になりますが、病気で楽器が吹けなくなりピアノ演奏に変わります。ドラマのジョーと同じですね。
ドラマの最後でジョー(金子隆博)が「オン・ザ・サニー・サイド・オブ・ザ・ストリート」 をピアノソロで弾いている音が流れます。
ドラマでは色々な編曲でこの曲が聴けるのですが、私はこのピアノソロが大好きで、その編曲から音を取ってみました。

Misty (Erroll Garner)

作曲者のエロール・ガーナーは、ピアノ奏法を独学で習得し、譜面も読めなかったジャズピアニストです。
独創的で、美しい旋律を生み出す演奏技法は、多くの人に愛されてきました。
エロール・ガーナーが作曲したミスティは歌詞がつけられ、多くの音楽家が取り上げるバラードの代表曲となりました。
題名のミスティは涙目のこと、女性歌手はこの曲を歌うときハンカチを出しそっと眼を拭う仕草をします。

Someday My Prince Will Come (Frank Churchill)

ジャズの曲はポピュラーヒット曲をジャズで演奏したものとジャズ演奏用に作曲されたものに大きく分けられます。
ジャスの曲はジャズ好きの人以外はあまり知った曲が多くないのですが、まちがいなく知っている曲としてはディズニーの曲があります。
ウォルト・ディズニー・カンパニーは今年が創立100周年だそうです。
「いつか王子様が」は、ウォルト・ディズニーの1937年アニメ映画『白雪姫』 の挿入歌です。

Sophisticated Lady (Duke Ellington)

 エリントンが彼の女性教師をイメージした曲。 エリントンは多くの曲を通常20分ぐらいで作曲していたそうですが、この曲は3ヶ月ほどかかったそうで、凝った作りになっています。 福田重男が編曲したメロディに合わせたヴォイシングが魅力的です。

Blackbird (Paul McCartney)

ビートルズの曲ですが、ポール・マッカートニーがすべて作った曲です。シンプルな曲に聞こえますが、譜面にすると結構複雑です。
この曲はあらゆるジャンルで演奏されており、ジャズでもジャコ・パストリアスを初めてして名演が多数あります。
今回は、現代ジャズピアニストの最高峰の一人「ブラッド・メルドー」のアレンジを元に演奏します。

Mood Indigo (Duke Ellington)

エリントンはこの曲でトロンボーンを楽器の最高音域、トランペットを中域、クラリネットを最低音域で鳴らしています。
これは当時前例のない楽器の使い方で独特の音響効果を出しています。
エリントン楽団の演奏をそのまま音数を最小限にピアノで弾きます。

How My Heart Sings (Earl Zindars)

「ハウ・マイ・ハート・シング!」が吹き込まれた『ムーン・ビームス』はジャズ・ミュージシャンのビル・エヴァンスが 1962年に録音したアルバムです。
モダンジャズピアノのスタイルを確立したのはビル・エヴァンスと言えます。
この曲の作曲者アール・ジンダースはビル・エヴァンスの朋友として新しいジャズピアノのスタイルを作り上げています。
難しい曲ですが、ビル・エヴァンスのイメージで演奏したいと思っています。

Left Alone (Mal Waldron)

ジャズ・ヴォーカル史上最高の女性歌手といわれたビリー・ホリデイが作詞、彼女の晩年に伴奏を勤めたマル・ウォルドロンが作曲した曲で、残念なことに彼女の録音は残っていません。
この曲はマル・ウォルドロンの代表曲で、一時日本では超人気曲でしたが、最近はあまり聴かれないように感じます。
短調の曲で暗く、陰鬱なムードに支配された曲ですが、コード進行を追うと凝縮した世界観があり、マルの知性を感じさせる曲です。
マル・ウォルドロンは 1982年4月24日に朝日町大平の廃校跡に来てくれ、ソロで演奏を聴かせてくれました。レフト・アローンを含む代表曲が聴けて、特別な夜になりました。

2nd set program

Solitude (Duke Ellington)

「孤独」と言った曲名。
ビリー・ホリデイを代表するグラミー賞を取った彼女の代表曲となりました。
昨年公開された映画「ザ・ユナイテッド・ステイツvs.ビリー・ホリデイ」の中も圧倒的な存在感を示していました。彼女の生涯を感じる名曲です。
シンプルな構成とメロディーですが、孤独のつらさや忘れされたい記憶を感じさせる曲です。

Alfie (Burt Bacharach)

今年の2月8日に亡くなられたバート・バカラックの代表曲。
1966年の映画『アルフィー』の主題曲として作曲され、1967年グラミー賞受賞。
多くのヴォーカリストに歌われていますが、個性的なメロディーとコード進行をにより、ジャズピアニストにも好まれビル・エヴァンスを初めとして多く演奏が残されています。

Darn That Dream (Jimmy Van Heusen)

「いやな夢 」は、ジミー・ヴァン・ヒューゼン作曲、 エディ・デランジ作詞の人気曲です。この曲は 1939 年に出版され、1940 年にベニー・グッドマンがエディ・ソーターのアレンジでミルドレッド・ベイリーがボーカルを歌った録音がリリースされ、第 1 位にランクされました。
恋人への一途な思いを歌った曲です。

Valse Hot (Sonny Rollins)

今でも生きているジャズ界最大の巨匠、ソニー・ロリンズの曲。
1954年マイルス・デイヴィスの誘いを蹴ってシカゴに引きこもったロリンズでしたが、マックス・ローチが自分のクリフォード・ブラウン=マックス・ローチ・クインテットに誘い、そのバンドをバックにアルバムを作ります。
その時に書いた曲が「バルスホット」です。
この時作ったアルバム「 Sonny Rollins Plus 4」の3ヶ月後クリフォードブラウンは自動車事故で亡くなってしまします。
彼の公式録音はこのアルバムが最後となってしまいました。

Ruby My Dear (Thelonious Monk)

セロニアス・モンクの2番目に有名なバラード。
変人のイメージが強いモンクですが、彼の作曲はとっても高度に練り上げられた音楽性の高い曲になっていると言えます。
エリントンと同様に複雑な曲ながら、流れるように綺麗な曲となっています。

Three Views Of A Secret (Jaco Pastorius)

エレクトリックジャズベースの改革者として有名なジャコ・パストリアスですが、高い音楽性と創造性を持った優れた作曲家でもあります。
ピアノ用にアレンジした彼の代表曲を演奏します。
独創的な曲ですが、古今東西のジャズ名曲のエッセンスをちりばめたようにも聞こえます。

Lush Life (Billy Strayhorn)

「A列車で行こう」や「サテンドール」といったジャズを代表する曲を作曲したデュークエリントン楽団専属作曲家「ビリー・ストレイホーン」の最高傑作。
「飲んだくれの人生」といった曲名でしょうか。
繊細で深い情感を持つこの曲、ビリー・ストレイホーンの人生を表す曲です。

Lotus Blossom (Billy Strayhorn)

東洋的な顔立ちで「ブッダ」とあだ名がつけられたビリー・ストレイホーンの最も美しい名曲。
ビリーストレイホーンが亡くなったときに、エリントンは追悼アルバムを作って、最後にソロで思いを込めた演奏を残しています。
コロナパンデミックの間弾いてきた曲で、お寺での演奏曲に相応しい曲として最後に演奏します。


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