大楠安紀ブログ

11月24日(日)富山県建築士会砺波支部主催 となみ野建築探訪③「谷口吉郎・谷口吉生記念 金沢建築館と金沢の谷口建築巡り」に行って来ました。
金沢建築館は建築・都市についてのミュージアムとして本年7月に開館。金沢の名誉市民第一号の建築家 谷口吉郎氏の住まい跡地に、吉郎氏の長男で、国際的に著名な建築家である谷口吉生氏の設計により建設されました。今回はこの建物を中心に金沢近隣にある谷口建築を巡る旅です。
以前に、日本経済新聞に連載されていた谷口吉生氏の私の履歴書を読んで、是非金沢にある谷口建築を見たいと思っていましたがようやく念願が叶いました。

朝一番で石川県立伝統産業工芸館(1958)を見学し金沢建築館の開館を待ちます。その後金沢建築館に向かい、学芸員さんの解説を聞きながら見学させて頂きました。
午後からは鈴木大拙館(2011)、最後に金沢市立玉川図書館(1978)を見学です。谷口さんの建築は凛としていて拘りが見えつつ奇をてらうことがないため、驚きがあると言うよりは心が落ち着く空間と言った感じです。

金沢建築館では迎賓館赤坂離宮和風別館「游心亭」の主和室と茶室を忠実に再現してあり、その場はやはり繊細で落ち着きます。今回は特別に結界のなかにあり普段来館者が座れないお茶室周囲の椅子に座らせて頂くことができ満足です。企画展示では谷口吉郎氏の卒業設計(実図面)があったり、とても興味深く拝見しました。谷口吉郎氏が亡くなった昭和32年2月、同じ月に私が生まれていますので、なにか繋がりを感じますね。



私の履歴書の中でも、谷口吉生さんが特に重要な建築と言っている鈴木大拙館もとても素敵な建築空間で周囲との関係がとても良い建築になっています。


伝統産業工芸館や玉川図書館はさすがに古さを感じます。今の谷口さんの作風とは異なります。それぞれの施設はどれも来館者が多数いらっしゃることが印象的です。

お昼は行列の出来る老舗洋食店「グリルオーツカ」でハントンライスを頂きました!開店と同時に到着したのですが既に30分待ち。素敵な建築を観て、金沢の街を歩き、美味しいものを食べて満足の視察です。「グリルオーツカ」も昭和32年創業です。偶然でしょうけど谷口吉郎氏と合わせ繋がりを感じました。


実際に現場へ行くと建築だけでなく、金沢に紅葉が美しいこの季節、周りの風景に佇む建築の良さを感じますね。


私の履歴書-谷口吉生

葛西臨海水族園、豊田市美術館、ニューヨーク近代美術館(MoMA)やGINZA sixなどの設計で知られる世界的建築家・谷口吉生氏の初の自伝。「私の履歴書」(日本経済新聞社、2017年連載)全29回分の記事と作品写真を収録。「建築作品を通してのみ自身を表現する」ことを心がけ、建築理念や父・谷口吉郎との関係、自身の半生について、公に語ることの少なかった著者の肉声を集めた貴重な一冊です。自身の設計になる金沢の建築博物館「谷口吉郎・吉生記念金沢建築館」の開館を記念し出版。


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