建築士会砺波支部建築探訪①「北陸の銀閣[松桜閣]とトロッコ車窓から山口文象に出会う」旅
建築士会砺波支部建築探訪①で黒部にある[松楼閣]と黒部峡谷にある「黒部川第2発電所」を見てきました。
「黒部川第2発電所」(日本電力黒部第二号発電所)
「黒部川第2発電所」(日本電力黒部第二号発電所)は、1936年山口文象の作品です。
この建物は、山口文象の代表作とであるとともに、日本モダニズム建築の原点とも呼ばれる作品です。
戦後日本建築界を代表する巨匠谷口吉郎、前川国男、丹下健三らを初めとして、日本の建築史に大きな影響を与えた建物でもあります。
この作品が富山にあることは極めて重要なことであり、富山県民としてもっと知ってもらい、誇りにもってもらいたいと思います。
戦前、山口文象はバウハウス校長だったグロピウスのアトリエで働いていました。
しかしながら、グロピウスがナチスの弾圧で「24時間以内に国境をでよ」との指令にグロピウス夫妻と山口文象3人は一緒にドイツを脱出しています。
まるで映画「サウンド・オブ・ミュージック」の世界ですね。
山口は帰国後バウハウス直系の代表作「日本電力黒部第二号発電所」を設計しています。
産業施設としても注目をあつめ、世界最先端のモダンデザインを具現化しています。
山口文象は、和風建築の名手でもありました。
「黒部川第2発電所」を見るために黒部峡谷トロッコ電車で釣鐘まで行きましたので、釣鐘の岩場に自然に湧き出ている天然露天風呂に入ってきました。
「松桜閣」(黒部市指定有形文化財建築物)
松桜閣は、初代富山県知事国重政文が1883年に富山市に建て5年間住んだ建物です。
その後黒部の現在の場所に移築されました。
「松桜閣は日本の茶道様式に基づく、数寄屋造りの建築様式で建てられ、「北陸の銀閣」と呼ばれています。
建物の四周の縁側に1,2階とも雨戸が走り、雨戸を全て隅で直角に折れ曲がって収納でき、360度の眺望を楽しむことができます。
視線の高さにガラス戸を入れた障子戸により、居ながらにして庭園を眺めることができます。
京風の粋で繊細な「座」の空間が、日本としての落ち着きをもたらします。
松桜閣の庭園は、富山県を代表する名園であり、灯籠と庭石が各所に配置され名所の景勝をを思わせます。
今回の建築探訪で、建築文化財の保護と活用について色々な意見が出ました。
地元砺波を初めとする建築文化財のあり方、特に活用について考えさせられる一日でした。